ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?

学校生活を送りづらくするADHD(注意欠陥多動性障害)

子供の発達障害で非常に周囲が困るのがADHD(注意欠陥多動性障害)です。
これは「特異的発達障害」の代表的な症状として分類されているもので、物事に集中することが苦手でしばしば衝動的な行動をとるというところに特徴があります。

幼児期に発症することが多く、幼稚園・保育園や小学校の授業中にじっと椅子に座っていることが出来なかったり、集団行動をとることができなかったりという行動を示します。

発症は乳幼児期であることが大半ですが、小学校に入ったあたりから症状が顕在化するというケースが多く、学級崩壊の原因を作り出すことにもなります。
またADHDは女児よりも男児に発症例が多いということも目立った特徴です。

ADHDの主な3症状として「不注意」「多動性」「衝動性」が挙げられます。
「不注意」とは、注意を特定の事象に向けることができず、しばしば大きな過ちを起こしてしまうということを言います。

「多動性」とは、座っていなければいけない場所で立ち上がってあちこちを歩き回ってしまったり、真っすぐ立っていられず細かく体を動かすといった症状のことです。

最後の「衝動性」とは順番を待ったり相手の話を聴いたりといった自制が求められる場面で適切な行動をとることができず、気分がコロコロと変わって突然癇癪を起こしたりといったこともあります。

周囲の無理解がますます症状を悪化させることも

ADHDという症状が世間的によく知られていなかった時には、保護者や先生がそれを教育によって矯正しようとして暴力や叱責、拘束といった手段で行動を制限しようとしてきました。

しかしそうした頭ごなしな叱責は本人の自尊心を著しく傷つけることになり、そこまでしても本人の症状に改善が見られないことで両親や担任教師の責任として周囲から大きなプレッシャーをかけられたりします。

ADHDは薬物療法など適切な治療をしていくことで劇的に改善をすることもでき、成長するに従い少しずつ症状が改善するということもあります。

しかし発達障害というのは基本的に一生本人の性質としてついていく個性であるため、生活を安心して送っていけるようにするためには周囲の理解は欠かせません。

少しずつ世間的な認知度が高まってきているとはいえ、まだまだ発達障害に無理解な人も多いというのが現状ですので、特に幼児期においては周囲が本人の才能をきちんと伸ばせるよう、適切な環境を作っていくということが大切になります。

一般向けの教科書ではなく、より視覚的・聴覚的な短時間学習のプログラムを導入したり、注意が他に向かわない環境に教室を設置するといった配慮が適切です。