問題行動の原因となる「情緒障害」について
情緒障害とは、情緒の現れ方が偏っているなど、自分で自分の感情をコントロールできなくなってしまう状態のことです。
文部科学省でも自閉症と並んで情緒障害に対応する特別支援教育プログラムを策定しており、現代の子供たちの間に多く見られる深刻な症状として認知されています。
私達は普段の生活の中で常に気分の上がり下がりを経験していますが、情緒障害の場合はその振り幅が非常に大きく、自分で自分の感情を抑えてその場に合わせた行動をとるということが出来なくなってしまいます。
「自閉症」の「自閉」という言葉には「現実の世界から離れて自分の内的妄想の世界に入り込む」という意味があり、総合失調症の基本症状です。
ただし現在では「自閉症」の認定はかなり緩やかに解釈をされるようになっているため、情緒障害も自閉症の一部として取扱がされることがあります。
子供の自閉症状は主に3歳位までに発症し、「他人と目を合わせない」「他人の感情を見て反応をすることができない」「非言語的なメッセージを理解することができない」といった行動が見られます。
情緒障害の場合、狭義の自閉症のように常に症状が固定されるわけではなく、普段の生活では定型発達者とまったく変わらず生活をすることができます。
しかし何らかのきっかけで突然に問題行動を起こすようになってしまい、周囲からの働きかけや説得で行動を改善できなくなるというのが特徴です。
外的要因によって発生することが多い
自閉症や主な発達障害の症状の原因は、先天的な脳と神経の障害であるというのが現代の通説です。
人は五感で受容した刺激に対し、脳がそれぞれの反応を即座に判断して外的な反応に変えていきます。
しかし脳と神経の連携に先天的な障害がある場合、刺激に対して正しい反応をすることができなかったり、不測の事態に対して適切な反応をとることができなくなったりします。
一方で情緒障害の場合、その原因として考えられるのは主に後天的なストレスで、過去の経験や現在感じている過剰なストレスにより、情緒を安定させることができなくなってしまうのです。
過去に児童虐待や性的虐待などを経験した児童が、成長してから突然症状が発露するというケースも少なからず見られます。
具体的な問題行動としては「緘黙(押し黙って話さなくなる)」「不登校」「ひきこもり」「反社会的非行行動」「自傷行為」「異食・過食・拒食」などです。
子供の場合は吃音や発音の不明瞭が起こったり、失禁や夜尿症といったことになって現れることもあります。
神経性習癖として、指しゃぶりや爪を噛むなどのクセが大人になっても続いてしまうという事もあるようです。
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