高校生の発達障害

高校生になってからわかる発達障害もあります

子供の発達障害は、通常2~3歳くらいの早い時期に兆候が表れるものです。
しかし発達障害の症状は人によって全く異なることもあり、高校生以上の青年期になってから初めてわかるというケースも稀ではありません。

人の成長プロセスである高校生~大学生までの10代後半を「青年期」と言いますが、青年期はその人が「自分とは何者か」というアイデンティティについて深く悩む時期です。

発達障害の中でも「精神遅滞(知的障害)」とされる重度の症状の人は、小学生くらいの段階ですでに一般の学校とは異なる特別支援学校・学級に進学することになりますので、ほとんどの人は自分の身の回りにそうした重度の発達障害を患う人を見かけないまま思春期や青年期を向かえます。

広汎性発達障害や特異的発達障害でも軽度な人は、普段の社会生活の中でなんとなく「自分は人と違うのかもしれない」と漠然とした違和感を持ちつつも、なんとか周囲に合わせようと努力をしていくことになるでしょう。

しかしいよいよ将来を意識した進路を選ぶ段階である高校生になると、その違和感は決定的なものとなります。
周りが自分に期待する像と自分自身の認識が一致せずに悩んだり、適切な進学・就職活動ををすることができずに失敗を繰り返して自信を失ってしまう、ということも珍しくありません。

発達障害とはっきり診断はできないものの、その傾向がある人のことを「ボーダー(境界性パーソナリティ障害)」といいます。

「ボーダー」の類型については国際的判断基準のDSM-Ⅳによって詳しく分類されていますが、一般生活においては情緒の不安定や衝動的な行動など周囲から扱いにくい性格の人というふうに映ってしまいます。

思い切った進路の変更も重要です

青年期になって初めてわかる発達障害は、知的障害のような重度なものではなく、特定の分野にのみ発現する比較的軽度なものであるのが一般的です。

しかしそれまでの学校生活で抱えてきた不安なやストレスが進路を決める段階で一気に表に出た時の悩みは大きく、不登校や引きこもり、衝動的な暴力行為といったような問題行動となってしまうこともあります。

そこでもし一般の学校生活にどうしてもなじめないという場合には、思い切って定時制学校や通信制学校、チャレンジスクールといった普通高校とは違った進路を目指してみるというのも一つの方法です。

高校を中退してのちに大検を受けて進路を決める人も多くおり、そこから自分に合った仕事を見つけていくことも十分に可能でしょう。

「自分とは何者か」という悩みをしっかり周囲が一緒に受け止め、その上で世間体にこだわらない本人のための進路を考えてあげることが重要です。