社会性やコミュニケーション能力に遅滞が見られる「広汎性発達障害」
「広汎性発達障害」は発達障害の3部類の一つであり、発達や機能の遅れが広範囲に渡って発症している状態のことを指します。
具体的な症状としては「社会的な対人関係を築くのが難しい」「人とコミュニケーションをとるのが苦手」「活動や興味の範囲が狭く強いこだわりがある」という3つが代表的です。
広汎性発達障害に分類される具体的な発達障害として「自閉症スペクトラム障害」や「アスペルガー症候群」があります。
なお「自閉症スペクトラム障害」の「スペクトラム」とは「連続体」という意味で、自閉症やそれに近い症状が重なり合って連続的に表面化することを言います。
その他の広汎性発達障害としては「レット症候群」「小児期崩壊性障害」「非定型自閉症」等です。
広汎性発達障害の代表的な3つの症状の全てが見られるのが自閉症であるため、広汎性発達障害=自閉症というイメージもありますが、どの症状がより顕著であるかにより診断においては細かく病名が付け分けられていきます。
最新の研究では、自閉症が起こる原因は先天的な中枢神経系の障害であることがわかっています。
中枢神経系とは脳と脊髄を結んでいる神経のことであり、音や味、言葉や痛みといった情報を五感で受け取った時にそれに応じた司令を全身に送っていくものです。
しかし自閉症の子供はこの脳と神経の連携がうまく働かなくなってしまうことにより、うまく人とコミュニケーションをとれなかったり、まわりから見て奇異に感じられる行動をとったりします。
広汎性発達障害の代表的な症状
その他の広汎性発達障害の症状について簡単に説明していきます。
まず最も有名な「アスペルガー症候群」は、知能は定型発達をしている人とほとんど変わらないか場合によってはそれ以上の能力を発揮することがあるにも関わらず、社会性に問題がある行動をとるというものです。
特に「こだわり行動」に大きな特徴があることが多く、相手の気持ちや状況を考えないマイペースな言動が目立ちます。
実際に見られた症状としては、「人見知りをせずに初対面の人でも平気で話しかける」「口数は多いが周りの話を聞かずに一方的に自分のことばかりを話し続ける」「直截的な言い方をすることが多い」「聞かれたこと以外を勝手に加えて話す」といったことが挙げられます。
「レット症候群」も広汎性発達障害の代表的症状の一つで、重度の精神遅滞と軽い自閉症状が見られ、女児にのみ発現するものです。
「小児期崩壊性障害」は2歳くらいまでは定型発達児と同じように成長しますが、それ以降に急激に広い範囲での能力退行が見られるようになるという症状です。
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